Repair & Maintenance

楽器のリペア・メンテナンスは、部品交換で完了する電化製品のような、あるいは、方程式に当てはめれば正解が出るような、通り一遍にやればいいという性質のものではありません。お一人お一人のご要望と個々の楽器の状態とを踏まえ、更には先々に起こり得る事案も想定した上で行うものです。 

処置の方法も、ある程度の原則はあっても、その都度その都度、適切な落としどころを見つけていく感じで、正解は無い、あるいは、正解はたくさんある、というのが実感です。 

リペアとは、唯一の正解を求めるものではなく、依頼をする側と受ける側とが意見を交わし、様々な条件の組み合わせの中で満足できる折り合いをつける営み、なのではないかと思います。

その際、「この楽器を今後どのように使っていきたいのか」「この楽器の、何に、どこに、価値があると感じているのか」を考えることがポイントです。その価値観によって、リペアのアプローチが変わります。場合によっては、実現したいことと、いわゆる「市場価値」とは相反することもあります。市場価値を優先するのであれば「リペアをしない」という選択こそが、ご自身にとって、あるいは、楽器にとって最善、ということも十分にあり得ます。

当方では、そのような市場価値的な側面よりも「演奏性を高めること」「安定を維持すること」を軸に、技術的な側面を重視したリペアを行っています。「弾きやすく、安定した状態で弾き続けることができる楽器であること」こそが、自身にとっての、その楽器の価値を高めることになると考えるからです。