最古参のコア

今年1月に完成・納品したギターです。


基本スペック

ギターを作りたい、と言っていただいた時点でのご希望は

ボディスタイル:OMカッタウェイ

サイド&バック:コア

フィンガーボード&ブリッジ:エボニー

といったところでした。

その他のスペックを詰めていくところからのスタートです。


トップ材の選択

候補としては

イングルマンスプルース

ベアクロウ シトカスプルース

シンカーレッドウッド

などでしたが、熟慮の結果、ベアクロウ シトカスプルースに決定。

更に、色味や杢の感じが異なる二つの中から選んでいただきました。


コア材の木取り

このコア材は開業当初からあったもので、最古参の材料の一つ。18年を経ての登場となりました。

入手にはちょっとしたエピソードがあり、他の材料とは違った「思い出の…」という側面もある材料です。語ると長くなるので、それはまた機会を改めます。

バックの中央部分にはサップ(白太)が入っています。セットのサイド材にあるサップは片方のみ、それも、サイズを調整して木取りすると無くなってしまう位置にあり、バックと同じようには木取りができません。

セオリーとしては、バックにサップがあればサイドにもサップが欲しいところ。それができないとなると、バランスを取るために、バックのサップも無しにする、という選択もあり得ます。

しかし、切り捨てるにはあまりにも惜しく、サップを入れる事になりました。


ヘッドプレート

ロゴマークはメイプル、トラスロッドカバーはコアです。

これまでは基本的に、表のヘッドプレートは指板と同じ材を、裏はサイドバックと同じ材を、というコンセプトで作ってきましたが、表にコア材を使ってほしいとのご要望で、表裏を通常とは逆にすることになりました。

デザイン的な観点から、杢のある材料を使う時は同じテクスチャー(肌合い)のものを使いたいと考えているのですが、今回はバック材の余剰部分から面積分をギリギリ取ることができ、幸いでした。特にコア材は色味や杢の個体差が大きく、樹種としても入手が難しくなってもいるので、尚更です。

完成時には、表裏逆になっています。


ペグ

ゴトーのSGL-510ZかSG-301をご提案し、色やボタンを含めてご希望をお聞きしていたところ、いただいた答えはSGL、それもラグジュアリーシリーズのゴールドでした。私としては全く候補に挙がっていなかったので、少し驚きました。

カタログで見たことがあるくらいで、注文すれば作ってもらえますが、一般的には流通が限られている希少なモデルです。


フレット

通常はニッケルシルバーを使っていますが、ステンレスとEvo-goldというフレットも候補に挙がり、検討していただいた結果、ペグのゴールドに合わせる形でEvo-goldを採用する事になりました。

メッキではないので削っても色が残ります。ニッケルシルバーより硬く、ステンレスよりは柔らかい感じです。


サウンド

完成して間もない時点で音を評価することには、やや抵抗がありますが、それでも敢えて言うとすれば、バランス良く温かみもあり、特に中域がクリアな印象。

しかしそれは、最古参の材料であるが故の、作り手としての思い入れや思い込みを反映した印象に過ぎない、のかもしれません。

音を作る事、それを評価する事、その難しさを、しかし、だからこその面白さを、ギターを作るたび実感します。

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