「最後は自分との闘いで」

ヤイリギターでキャリアをスタートさせてから四半世紀以上が過ぎました。入社当時は、先々独立することなどは全く考えていなかったので「キャリアをスタート」という言い回しが適当なのかどうか、わかりませんが、原点であることに間違いはありません。ヤイリギターでの経験があればこそのABE GUITARSだ、ということを、忘れてはいけないと思っています。

私を受け入れてくださった矢入一男社長は、7年前に他界されました。その時に書いた文章を、一部修正して再掲します。時間の経過と共に、やや古くなった感はありますが、綴った想いは今も同じです。(以下、再掲)

私の古巣であるヤイリギターの矢入一男社長がご逝去されました。心からご冥福をお祈り申し上げます。そして、私が今現在ギターの仕事ができているのも社長のおかげであり、感謝の念に堪えません。

2012年の末に、何年振りかでヤイリギターを訪ねたのですが「おっ、珍しい奴が来とるな」と声をかけてもらって、しばし話をしました。杖をついて歩く姿にはかつての勢いはありませんでしたが、割と一方的に自説を熱く語る社長は相変わらずだったので、まだまだ元気で過ごされているんだろうなと思っていましたが…残念です。

タイトルの言葉は社長の口癖で(と私が思っていて)、確か初めて面接を受けた時に言われ、その後も事あるごとに聞かされました。若かったので「そんなの、当たり前じゃないか」と、斜に構えて聞いていたのですが、今なお時折思い出すということは、若いなりに何か感じるものがあったのだと思います。

独立し10年やってきて初めて「なるほど、社長が言ってた『自分との闘い』ってのは、こういう事だったのか」と、その言葉の深い意味を実感することが多々あります。とは言っても、社長の苦労の何万分の1以下のレベルだとは思いますし、社長が抱えていたその苦労の中には、私がかけた迷惑、というのも含まれているわけですが…今更ながら、いろいろすみませんでした。

ヤイリギターで学ばせてもらった技術と、経験させてもらった様々な仕事が、今の私を支えてくれています。社長の恩に報いるためにも、更に精進したいと思っています。

社長、本当にありがとうございました。合掌

(執筆 2014年3月10日)

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